皆さんこんにちは!
こんな悩みに答えます。
本記事ではSBI証券の米国貸株サービス「カストック」について解説します。
なお、以下の動画でも解説しておりますので、併せてご覧ください。
それでは、いきましょう!
この記事の内容
- 米国貸株とは
- カストックのメリット・デメリット
- 外国税額控除とは
前提条件
まずは、本記事を読む前提条件の確認です。
前提条件
- これからSBI証券で米国株を始めようか悩んでいる方
- 既にSBI証券で米国貸株サービスを利用している方
- 貸株について知りたい方
- SBI証券で米国株を持っている方
- SBI証券の米国貸株を始めようか迷っている方
こんな方々にぜひ読んでほしい記事となっています。
外国税額控除を踏まえて貸株サービスについて考えていきますので、一緒にお金を守る力を付けていきましょう!
貸株とは?
そもそも貸株とは何なのでしょうか。
貸株とは、SBI証券に株式を貸し出すだけで、貸株金利を受取ることができる制度のことです。
銘柄によっては2%の金利がつく銘柄もあります。
つまり、貸株を行うことで配当金+貸株金利を受け取ることができる画期的なサービスなのです。
例えば、皆さんが配当3%・貸株金利0.05%の米国株を100万円分持っていると仮定します。
すると、貸株としてSBI証券に米国株を貸し出すことで、「配当金3万円」+「貸株金利500円」獲得できます。
※貸株のイメージのため、税金については考慮しておりません。後ほど解説します。
しかし、「米国株貸株サービス」を利用する際いくつか注意しなければならない点がありますので、これから紹介していきます。
米国貸株「カストック」のメリット・デメリット
SBI証券では、米国株を貸し出すサービスがあります。
それが、「カストック」です。カストックのメリットについて解説していきます。
カストックのメリット
- 金利が受け取れる
- 貸株中でも配当金を獲得可能
- 自動貸出機能付き
- 貸株中いつでも売却可能
メリット①:金利が受け取れる
貸し株の最大のメリットですよね。
同じ株を保有していても、貸株として貸し出すか、貸し出さないかで、金利差分の収入を得ることができます。
また、カストックでは最低でも0.01%~金利を受け取ることが可能です。
メリット②:貸株中でも配当金を獲得可能
貸株金利を受取りながら、同時に配当金も受取ることが可能です。
貸株として株を貸し出していても、配当金相当額ではなく、配当金として受け取ることが可能であるため、外国税額控除を利用することができます。
外国税額控除については後ほど詳しく解説します。
メリット③:自動貸出機能付き
一度サービス登録をすることで、自動で米国株を貸し出すことが可能です。
貸株をするたびに追加作業が無いのは非常に便利ですよね。
一度設定をするだけで、株を購入するたびに自動で貸し出すため、まさにメンテ無しで金利獲得可能です。
メリット③:貸株中いつでも売却可能
「貸株中はすぐに売却できないのでは?」と思う方、いらっしゃると思います。
貸株として株を貸し出していても、いつでも売却可能です。
金利も、配当金も受け取れて、自動で貸し出し、売却はいつでも良い。まさに最高のサービスと言える…
そう思っていました。
これから紹介するデメリットが、非常に大きかったのです。
カストックのデメリット
- SBI証券の倒産リスク
- 住民税の申告
- 「配当金相当額」として支払われることがある
デメリット①:SBI証券の倒産リスク
万が一、SBI証券が倒産した場合、カストックサービスとして貸し出した株が返却されない可能性があります。
分別管理とは
- SBIでの財産と私達投資家の財産を分けて管理すること
通常、私達がSBI証券で購入した株は分別管理されています。
分別管理されていることで、SBI証券が倒産しても私達の財産は(購入した株)は確実に返還されます。
しかし、貸株で貸し出した株は分別管理対象外となります。
デメリット②:住民税の申告
貸株金利として得られるお金は、税区分上「雑所得」となります。
皆様の所得にも依存しますが、一般的には雑所得が年間20万円以下の場合、住民税の申告のみ必要になります。
デメリット③:「配当金相当額」として支払われることがある
貸株中の配当金は「配当金相当額」として支払われることがあります。
これはあくまでも可能性の話ですが、カストックのよくあるQ&Aに、以下の文章が記載されていました。
「配当金がお支払いできない場合には、米国での外国税を差し引いた配当金相当額として支払われます。」
「配当金相当額」とは、「配当金」に代わって支払われるものです。
つまり、基本的には「配当金」として支払われるが、配当金相当額として支払われる場合があるということです。
配当金相当額とは税区分上「雑所得」となり、外国税額控除を利用できなくなるからです。
外国税額控除とは?
外国税額控除とは、米国株式によって得られた配当所得に対して、外国で課税された税額を日本国内の所得税から一定額を控除する制度です。
簡単言うと、「確定申告をすることで二重課税を調整し、米国株税金の一部が還付される」ということです。
さらに少しだけ、外国税額控除についてお話しますと、外国税額控除の対象税目は、「所得税」となります。
米国株・米国ETFの配当は外国課税(10%)と国内課税(約20%)の二重課税が発生します。
外国税額控除限度額は、次の算式で計算しますが、簡単に目を通すだけでOKです。
外国税額控除限度額=その年分の全世界所得税額×(その年分の国外所得税額/その年分の所得総額)
先ほどの例と同様に、課税所得が500万、配当3%の米国株を100万円分持っていると仮定すると、外国税額控除限度額は以下のように算出します。
その年分の全世界所得税額:
500万×20%-42万7,500円=57万2,500円
その年分の国外所得金額:
100万×3%=3万円
=米国株配当金
その年分の所得総額:
500万円
外国税額控除限度額:
57万2,500円×(3万円/500万円)=3,435円
次に、課税所得が500万、配当3%の米国株を100万円分持っている場合の具体的な外国税額控除について算出します。
※外国税額控除の税計算は、申告分離課税として計算しています。
外国課税:
3万円×10%=3,000円
日本課税(所得税):
2万7,000円×15.315%=4,135円
日本課税(住民税):
2万7,000円×5%=1,350円
税引き後配当金:
2万1,515円
上記を踏まえ、外国税額控除を利用して、税引後配当金を計算してみます。
外国税額控除:
3万円×15.315%=4,595円
日本課税(所得税):
3,000円+4,135円-4,595円=2,540円
税引き後配当金:
3万円-(3,000円―4,135円ー1,350円+2,540円=2万4,055円
このように、外国税額控除を利用することで、外国課税された約10%のうち、8割以上還付されることがわかります。
確定申告の際に外国所得(主に配当所得)と外国課税を入力することで、自動で反映されますので是非実践してみてください。
カストックの最高パターンと最悪パターン比較
先ほどと同じように、課税所得500万、配当3%・貸株金利0.05%の米国株を100万円分持っていると仮定します。
貸株としてSBI証券に貸し出す(配当金として支払われる):最高のパターン
米国株式:100万円
配当金:3万円
外国税額控除:2,540円
税引き後配当金:2万4,055円
貸株金利:500円
税引き後金利:350円
所得税20%+住民税10%
税引き後手取り額:2万4,405円
貸株としてSBI証券に貸し出す(配当金相当額として支払われる):最悪のパターン
米国株式:100万円
配当金相当額:2万7,000円
配当金(3万円)×外国課税10%
貸株金利:500円
税引き前手取り合計:2万7,500円
税引き後手取り額:1万9,250円(所得税20%+住民税10%)
米国株貸株制度を利用しない(配当金として支払われる):貸株サービスを利用しないパターン
米国株式:100万円
配当金:3万円
外国税額控除:2,540円
税引き後手取り額:2万4,055円
リスクを取っても最も稼ぐパターンにするか、確実に外国税額控除を使うために貸株自体を利用しないパターンにするか。
皆さんはどっち派ですか?
まとめ:貸株サービス「カストック」のリスクを理解しておこう!
貸株は塩漬けにしている株に対して、素晴らしいサービスです。
配当金が出ない米国株はすぐに貸株にすべきでしょう。
しかし、高配当米国株、高配当ETFといった配当金株を貸株にすることで、不明瞭な理由から配当金が「配当金相当額」として支払われて外国税額控除を利用できない可能性があります。
『金利が貰える!ラッキー』と思って貸株をしたら、逆に損をしている、なんてことにならないように注意してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。ではまた!